sonarsound tokyo 2006. Advanced Music and Multimedia Art

 

ヤン富田
[2006-09-21, YAMAZAKI Youki]

“スティール・パン演奏の第一人者。電子音楽界の悪戯者。ジョン・ケージの「4分33秒」をカバーした頓知の人。ヒップホップ黎明期のトラック・マスター。”
『フォーエバー・ヤン ミュージックミーム1』(アスペクト)の収められた「ヤン富田と21世紀の音楽」に於いて北尾修一氏は「これだけ説明しづらい音楽家もいないと思う」と前置きした上で、冒頭のように列挙し「どれも当たっていると言えば当たっているけれど微妙に違和感がある」と述べている。
 そうなのだ。おそらく日本国内でアドヴァンスド・ミュージックというコンセプトに興味
を抱く物ならその名を知らぬ物はいない偉大なる音楽家=ヤン富田ほど一言で説明しづらい人はいない。そもそも前掲の『フォーエバー・ヤン ミュージックミーム1』からしてヤン富田を言葉で言い表そうと試みた本だとも言えるから(そういう行為はヤンさんに言わせればかっこ悪いことなのかもしれないけれど)、300ページに渡るその本を差し置いてWEBの1ページに収めるなんて無謀もいいところだけど、少しでも<sonarsound tokyo2006>を心待ちにしている皆さんのお役に立てればと思い、その”カッコ悪いこと”をしてみようと思う次第です。

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まず、何と言っても<sonarsound tokyo2006>に馴染み深いところで言うと” ヒップホップ黎明期のトラック・マスター”としてのヤン富田だろう。 「僕の音楽知識の中ではじけるものがあった」(前掲『フォーエバー・ヤン ミュージックミーム1』より)と語っているようにヤン富田の長いキャリアの中でもヒップホップは大きな意味を持っている。いとうせいこう、ダブマスターXと共に作り上げた『MESS/AGE』はあまりにも有名だ。 80年代後半に作成したDJ教習用に製作したブレイクビーツ「Dr. YANN’S BEAT CLASSICS #1 for DJ」が(一説にはテイ・トウワ氏を経由して)ジャングル・ブラザーズの耳に止まり、彼らの2ndアルバム『Done By Force Of Nature』のタイトル曲に使用されたり、10年の時を超えてMo’waxのジェームス・ラヴェルがライセンスをリクエスト・オファーを出したりとそのヒップホップに対する卓越した慧眼ぶりを裏付けるエピソードには事欠かない。

電子音楽界の悪戯者。ジョン・ケージの「4分33秒」をカバーした頓知の人。
初ソロ・アルバム『ミュージック・フォー・アストロ・エイジ』でそれまで現代音楽として実験的で前衛なジョン・ケージの「4分33秒」(注:「音楽は音を鳴らすもの」という常識を覆す、「無音の」音楽 —Wikipedia)をポップに提示してしまうセンス。さらにそれを「ハウスの象徴」というTR-808のカウベルをフィーチャーした「4分33秒ダブ」。
「過去の現代音楽のフィールドを”音楽界のN.A.S.A.”だと思えばいいんだよ」(エレキング12号 インタビューより)と語るように、その膨大な音楽知識をユーモアに混ぜてポップに提示してくれるのがまたヤン富田という人の魅力のひとつだ。
またヤン富田が繰り返し語るキーワードのひとつに” 必然性のある偶然”というものがあげられる。それが顕著にあらわれたのがプリペイド・レコードというものがあげられる。これはアナログ盤を任意の数にカットし、ランダムに繋ぎ合わせたレコードのこと。この繋ぎあわせられたレコードを再生することによって接合部分で針飛びが起こり、まさに一期一会の音楽になる。この時、想像を超えた思いもよらない素晴らしい音楽との出会いを” 必然性のある偶然”と呼んでいる。果たして<sonarsound tokyo2006>では” 必然性のある偶然”は起こるのか?

ティール・パン演奏の第一人者
ヤン富田はそのキャリアをスティール・パン演奏者としてスタートさせている。
エキゾチック音楽の紹介者。マーティン・デニーのベスト盤。エキゾチックな電子音楽というとセニョール・ココナッツだが、<sonarsound tokyo 2006>でのこの2アーティストのクロスオーバーがお互いにどのような影響をもたらすのかも興味深いところだ。

 

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